日本血管内治療学会

日本血管内治療学会

ここに血管内治療学会の理事長から、ご挨拶を申し上げる次第であります。

従来から、血管内治療を行う診療体制の中で種々の治療法がありましたが、やはり一つの学会で同様の目的意識を持った診療科の医師達が力を合わせて一堂に会して学術的な研鑽を行うのが良いのではないかという機運が高まってきたのであります。

丁度、平成初期の頃は、血管内治療と言えば、血栓溶解療法と血管外科手術しかなかったのですが、次第にバル-ン、アテレクトミ-、レ-ザ-、ステント療法などが、次から次へと日本に台頭するようになってきたのです。このような中で、私はバル-ン、アテレクトミ-やレ-ザ-を使用して血管内治療を基礎的研究で良好な成果をえた後に臨床面に応用して見事な成績を挙げていたのであります。このように多くの血管内治療への選択肢が出現したことにより、まず血管内治療学会の発足へと火が点けられたのであります。

そこで、平成7年7月13日―14日に、第1回日本血管内治療学会を私が学会の会長として、神戸市で開催したのであります。この平成7年は、1月17日の午前5時46分に発生した、あの未曾有の阪神・淡路大震災が勃発した年でしたが、学会は何事もなく盛会裏に無事プログラム通りに進み、大成功裏に幕を閉じたのであります。しかし、多くの学会への参会者には、テレビや新聞紙上で報道されなかった、震災で崩れ落ちた残骸を生の状態で見聞して頂き、本当に良かったものと思っております。

さて、本学会は、循環器内科医、放射線科医、血管外科医と脳神経外科医との四分野の医師達が一堂に会して毎年1回学会を開いております。この学会は、四分野の診療科から会長を順に決定して行われているのです。この学会も、会員数も年々増加しており、臨床に役立つ血管内治療に関する内容を持つ学会誌の発行も正常に行われております。

このように分野の異なった診療科の医師達が一堂に会して行う学会は、世界を見てもどこにもなく、本当にこれを誇りに思っている次第であります。このように診療科が異なっていても手技的なことなどには、共通した点もみられ会員同士の間では、多くのメリットが得られております。

今や、冠動脈領域でも冠動脈拡張術(Percutaneous coronary intervention, PCI)が積極的に行われていますが、最近ではステントに抗血栓剤を加味させたDrug Eluting Stent (DES)などが応用されており、良好な成果が得られております。 また、抗血栓性を維持させるために抗凝固剤を封入させたステントグラフトが使用されるなどの工夫で最近では再狭窄率が4%前後と改善されているのである。さらに、脳神経外科領域では、脳動脈瘤に対するステントとコイル塞栓術や頸動脈狭窄病変に対しては、CASのテクニックや血栓の剥離予防を凝らしたステントグラフト療法などが積極的に行われております。また、CASでできた血栓の捕獲などを加味した安全、安心の手段が行われているのです。

一方、血管外科の領域においては、最近腹部並びに胸部大動脈瘤に対するステントグラフト療法が導入されるに及び、その手技や操作の資格を習得した医師達が積極的に臨床応用を開始し出したのであります。現在、非常な勢いでステントグラフト内挿術の症例数が増加しており、2015年8月現在のデ-タを見ますと、腹部大動脈瘤では474施設で46692       例に、胸部大動脈瘤では353施設で18819例に実施されて、予想外に良好な成績が得られているのであります。

さらに、放射線科では、CTやMRIなどの機種の改良などによる診断技術の改良面や血管内治療の応用にも積極的に参入し、そのすがすがしい姿勢が見られているのです。

このように今や、血管内治療の分野は、この四分野でそれぞれ大きく発展しており、本学会における討論でも非常にレベルが高い上に、そのモチベーションも強く、今後大いに発展していくものと思っている次第であります。

世界的にみても、このように侵襲性が少なく、その治療効果が高い治療法の選択が第一に集約されており、今後とも大いに期待のできる治療法となりうるものと考えている所であります。

平成27年10月吉日